→【下池上空を舞うオオワシ】撮影者:簗川堅治
原発の処理水問題を、建設計画を進めていたころに想像した人がいるでしょうか。
地震対策はしていてもあれほどの津波を想定していなかったというでしょう。
でも、人間はあらゆる可能性を想定して未来に臨まなければなりません。
原発反対と再エネ推進は同じではありません。風力や太陽光は安全だから風車を建設し、山をパネルで覆いつくす…風車もパネルも安全でしょうか?
建設に伴う建設道路の設置や森林伐採。20年後の廃棄資材の行方。
営利第一の事業者は、なるべく安く作って完成後はなるべく多くの利を得る姿勢なのは当然です。儲けるための計画ですから。
それが地元の自然には何の利があるのでしょうか。
その自然の中には人間も含まれています。
再エネを考える時、今のままでは危うい…このままではいけないと強く感じます。
県や自治体の条例の目指すところと、環境への影響の実態のズレが大きくなってきています。そのズレの原因をひとつひとつ見極めていき、ズレを小さくしていく方法がきっとあります。
ひとりの声は小さいですが、皆で声をあわせて、届けるべきところへ届け、変えるべきを変えていきましょう。地元の未来のために。
山形県の山なみを悠然と飛ぶイヌワシやクマタカ、オオワシの姿を20年後50年後の子供達にも見せてあげたい思いは、我々人間の健やかな暮らしを願うことと同じです。(細谷千鶴子)
署名ご協力のお願い(更新)
米沢市栗子山周辺に大規模風力発電風車建設計画について、10月にはイヌワシの営巣地との距離などの調査データに改ざんがあったと指摘があり、県も難色を示しましたが、例によって法的効力は自治体にはないので、事業者側に計画の白紙撤回を求めるまでは安心できないということで、この度地元の団体が署名運動を始めました。
県支部の会員も多くかかわっています。県支部も賛同者となっております。
詳細は署名用紙に詳しく記載されております。
1月度の署名へのご協力ありがとうございました。
新たに2月度の署名運動を展開しています。署名は2月末で締め切ります。
宜しくお願いいたします。
ご報告:2022年11月2日に結成されました「ラムサール条約湿地近接大型風車建設に反対する会」は、活動目標としていました事業者による事業計画の撤回という結果をふまえ、2023年12月23日をもちまして解散いたしました。皆様には一万筆を越える署名によるご協力を頂戴し、大きな力となったことを感謝しつつ、今後ともご一緒に自分たちの暮らす環境を見つめ考えていくことをお願いいたします。
日本野鳥の会山形県支部 支部長 細谷千鶴子
2023年10月16日午後、事業者より鶴岡市へ計画断念の報が入りました。
皆様に署名活動を呼びかけて1年弱、ラムサール条約登録湿地を含む環境がこれ以上壊されるのを食い止めることができて本当に良かったです。これからも再生可能エネルギー開発と自然環境保全のバランスを考えながら、ひとりひとりの声を集めて、大きな流れを作っていきたく思います。ご協力ありがとうございました。
日本野鳥の会山形県支部 支部長 細谷千鶴子
以下、鶴岡市長の発表です。
2023年10月16日
鶴岡市加茂地区における(仮称)JRE加茂風力発電事業計画について、ジャパン・リニューアブル・エナジー株式会社より事業撤退を社内決断した旨、本日午後に、本市に対して報告がありました。
本市といたしましては、豊かな自然環境や歴史・文化的環境等の保全と再生可能エネルギー導入促進との調和を図ることは重要な課題でありますので、今後ともその両立に向けて取り組んでまいります。
令和5年10月16日
鶴岡市長 皆川 治
続報:2023/11/9
東北地方環境事務所は八森山風車下で発見されたクマタカの解剖検視結果として、当該風車(第5号機)と衝突したことに起因して死亡した蓋然性が高いと判断した。
←【大山下池のクマタカ】撮影者:簗川堅治
加茂地区に隣接している八森山風力発電所(JRE)において6月24日クマタカの死骸が発見されました。事業者から鶴岡市へこの件で連絡が入ったのは7月28日でした。8月2日の定例記者会見で鶴岡市長がこの件に触れ、それを受け8月15日、財団法人日本野鳥の会・日本野鳥の会山形県支部・日本雁を守る会は連名で同じ事業者JREが計画中の加茂地区の風車建設工事中止要請を文書で提出しました。ラムサール条約登録湿地のごく近い場所であることと、クマタカの営巣地を含むことなど、鳥類に関わる問題に特化した内容になっています。
また同じ要請文を鶴岡市にも提出しています。鶴岡市では2月に市長による計画中止の申し入れがされていますが、6月の市議会で中止申し入れの撤回を求める請願が採択されるなどしていました。八森山のクマタカバードストライクの後に開かれた地元住民への説明会ではバードストライクは極めてまれなことで影響はないとの説明がありました。
9月に入っても事業者から環境省へクマタカが渡されず、結局上記の解剖結果は10月16日の加茂地区の計画断念発表後、半月以上経ってからでした。これは、加茂地区の建設計画とは全く別物ですよいう事業者の思惑が感じられるもので、野鳥の会としては、これは氷山の一角であり、希少猛禽類に風車が与える影響を明らかにしていくきっかけとしてとらえ、今後も目を離さずに対応していきます。【細谷千鶴子】